「型」を意識した応対を原則とする

プログラミングをしたことがある方なら、「int を返す関数として宣言したなら int を返さなければならない」と説明すると理解頂けると思う。問いの「型」を認識したうえで、原則的にはその「型」で返すことを意識するべきである。

  • 「何が(What)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」と問われたなら「何を」「いつ」「どこで」「誰が」を答えること。
  • 方法(How)を問われたならば方法を答えること。
  • 理由(Why)を問われたならば理由を答えること。
  • Yes/Noや選択肢からの選択(Which)を問われたならばYes/Noや選択結果で答えること。
  • 数値(How much, How many)を問われたならば数値を答えること。

ふと耳に入ってくるやり取りのなかで、「あぁ、その回答では上司の人はいらだってしまうだろうな」と思う答えは大概「型」をはずしている。

例: 問い「○○に■■の件のメールを送った?」

送ったか?という問いには「送った」か「送っていない」での答えを含めるのが大原則でしょう。付加的な情報はその後だ。

  • ×「あ、すぐ送ります!」
  • ○「(はい、)(いついつに)送付済みです!」
  • ○「(すいません、)まだ送っていませんでした。すぐに送ります!」

例: 問い「アプリが通信できないっていうことだけど、まず接続先へのping疎通確認はできてる?」

ping疎通確認をしたか?という問いには「確認した」か「確認していない」をまず答え、確認したのならばその結果を加える。さらに次の確認観点まで踏み込めば「わかってるな」となる。

  • ×「アプリのログに○○というメッセージが出ているので通信に失敗してると思うんです。」
  • ○「ping疎通確認は実施していませんでした。確認してみます!」
  • ○「(はい、)ホスト□□に対してのpingは成功しています。」
  • ◎「(はい、)ホスト□□に対してのpingは成功しています。あと、telnetでのポート指定疎通もできています。疎通はしていますが、アプリのログに○○というメッセージが出ているので、アプリの設定まわりに原因があるのではないかと当たりをつけて確認中です。」

上記の×のような「型」を外したやり取りをしていませんか?私も(確信犯的に)たまにやります(おぃ)が、基本的にはルール違反です。

もちろん、int 型を返す約束のメソッドが「例外」を出す場合もあるように、あまりに問い(入力)がおかしいならば「ちょっと待ってください!」という場合もある。しかし、「例外」がそうであるように、受け手側に準備がないと会話に混乱を生じる場合がある。その場合でも「私は貴方の質問の『型』を理解して、それに答えようとしたが、答えを出すには不都合がある」というニュアンスを伝えると、受け手側が理解しやすいと思う。

例: 問い「○○と△△を動かすにはメモリの量はどのぐらいにすればよいのかな?」

技術者として答えるために必要な情報が足りておらず、情報が欲しい気持ちはわかる。しかし欲しい情報を質問しても「何故それを質問されるのか?」が解ってもらえなければ「問いに対して問いを返して来た」と捉えられてしまうこともある。

  • ×「ちょっと待ってください、それだけの情報では答えられませんよ!」
  • △「○○で管理するサーバ台数は何台ぐらいですか?△△の利用者数は何人程度でしょうか?」
  • ○「○○と△△を動かすのに必要なメモリの量は利用条件に依存して決まります。○○であれば主として管理するサーバ台数、△△であれば主として利用者数に依存しています。それぞれどの程度か解れば概算レベルではお答えできますが、把握されていますか?」