日本の原油輸入先が中東中心のままだった

イランに対する米国の経済制裁に対して、イランが『ホルムズ海峡を封鎖するぞ』と脅しをかけている。ただし、そうした場合の世界中から非難を受けることは必至である(中東内のごたごたが原因であればともかく、イランのみの都合による封鎖であれば、他の中東産油国からの反発も当然あるだろう)。また、イラン自身も原油輸出に頼った国家運営であり輸出を減らす様なことはできない。よって、『ホルムズ海峡封鎖』の可能性は現在のところ低いようだ。

下の『原油の輸入先(2010年度)』によると日本はイランから輸入量の約10%を輸入している。この10%だけでも大きな数字だが、このグラフをみて気になったのは『オイルショック後に行った輸入元の分散によるリスク回避はどこへ消えてしまったのか』ということだ。『その他』が中東の他の国を含んでいないと仮定しても中東以外からの輸入は『ロシア・インドネシア・オーストラリア・その他』の計15.7%でしかない。また、ホルムズ海峡が仮に封鎖された場合に"経路上の"影響を受けなそうな中東の輸入元は『オマーンスーダン』の3.9%。サウジは紅海にも面しているが、紅海からの輸出経路があるのかは不明(調べてみたいところ)。

エネルギー白書2011』より抜粋。

Google Map』より地図引用。注釈追加。

オイルショック後に行った輸入元の分散によるリスク回避』が記憶違いだったのかと確認してみると、他のアジア諸国の需要増加で調達困難となり結局中東依存状態に戻ったということのようだ。『分散しているから大丈夫』なんてとても言えない状況だった。

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構[JOGMEC]』より引用。

2005年度では、一次エネルギーにおける石油の構成比は約49%まで低減しています。 輸入先は、一次オイルショック後、インドネシア、中国、メキシコなどに分散し、1987年には中東への依存度を68%にまで抑えましたが、韓国や中国など アジア地域内での消費量の増加とともに日本は、アジア以外からの輸入が増加し2006年には中東から約89%を輸入しているのが現状です。

再び『エネルギー白書2011』より抜粋。

原子力発電を止めた場合には、当面は火力発電で凌ぐしか無いはずだ。原子力を止めても電力供給はまずまず可能、だとしてもそれは火力が健在だからでしかない。仮にオイルショック再来となった場合に、原子力即時撤廃を叫ぶ人たちはどういう反応をするのだろう。